首相訴追

憲法
75条「国務大臣は、その在任中、内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、訴追の権利は、害されない。」
66条「内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。」


内閣法
2条1項  「内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。」

色んな新聞社の報道を見ている限り、内閣総理大臣検察審査会の起訴相当議決×2により強制起訴された場合でも自身が同意しなければ訴追されないとのみ報道して居る。


さて、其れは如何だろうか。結論:「訴追は同意がなくとも可能である」
主張:内閣法2条1項の文言からすると、憲法75条の「国務大臣」は内閣総理大臣を含まないものと解される。
想定される反論:内閣法は憲法の下位法である。
反駁:憲法上の文言を解釈する為に下位法を用いることには何等問題がない。
想定される反論2:憲法66条には「内閣総理大臣」及び「その他の国務大臣」とある。75条には「国務大臣」とのみあるのだから内閣総理大臣を含むのではないか。
反駁:内閣総理大臣を含むとするならば66条にも「内閣総理大臣及びその他の国務大臣」とあればよいにも拘らずそうなっていないのだから反論は失当である。


主張:検察審査会法の目的は同法1条にある通り、「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため」である。憲法75条の法的意義はは検察権力による政治への介入を防ぐことであり、民意が反映されている検察審査会による強制起訴(同法41条の6 1項)の手続きを踏んだ訴追から逃れさせることは出来ない。